Water-Ring DIARY

徒然日記。日々の呟きとサイト更新予定など...。
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晩夏の嵐?

2012.09.02 Sunday | 日常

えっらい雨と雷に脅かされ家の中でビビりまくりでした。
……怖いわ! 落雷!

いやあ、何事もなく納まってほっとしました。
停電するかと思った。

しかし夏も本格的に終わりですね。
魔女と並行して、こそっと夏用SSなんぞを書いていたのですが、このままじゃ残暑すら終わってしまう! ということで、今週中のupを目指して本日はこちらをメインにペソペソ進めてみました。
だいたいは書き終わっているので、後は細かい手直しと見直しを少々。

魔女の続きも早めにUPできるように頑張るぞなー。
前回更新分にメッセージ下さった方、ありがとうございました!
お付き合いいただけて嬉しいですv


とりあえず夏用SSの冒頭部分をあげてみたので、興味のある方は”続きを読む”からどうぞです。

それでは、またv


シスター・ブラザー


「暑い、溶ける」

じりじりと肌を焼く陽射しに、益体もない文句が零れる。

帽子の一つもなく、木陰でもないこの場所に座ってるって、実は結構なチャレンジャーなんじゃなかろうか、とそろそろ思い始めていた。

この公園、そろそろお昼に近い今の時間なら人が少ないとおもって選んだけど、失敗だったか。

「人間が溶けるって、ちょっとした恐怖映像だね」

鼻の付け根、丁度眼鏡のパットが当たる部分の汗を拭った臣科(おみしな)が、私のたわごとに真顔で答えた。
ついでのように、でも暑いよねぇ、とのんびり呟き、500mlペットボトルに入ったお茶に口をつける。

こいつも、大概だ。私に付き合って三十分近く、ここに居座っているのだから。
そもそも呼び出された理由を尋ねてくるわけでもなく、帰るでもなく。

……ああ、喉、渇いたな。

ベンチに置かれたペットボトルをつかみ、ぐいっと煽る。
当然といえば当然だけど、生ぬるい。あれ? 私の飲み物お茶だったけ?

「美穂(みほ)さん、それ僕の飲み差し……」
「え?」
「……ううん、なんでもない。新しいの買ってくる?」
「別に、いい。そんなに飲みきれない」

意を決した。このままじゃ埒が明かないし、そろそろ頭がくらくらしてきた。これは不味い兆候だ。

「お――お知らせが、あります」

なぜか敬語になった。いままで臣科に敬語を使ったことなんて――いや、あったな、過去に一回だけ。あれは初対面の時だった。

「はい、何でしょうか」

すっと臣科が居ずまいを正す。いつもの猫背がなくなると、格段に威圧感が増した。
こうしてみると結構な美丈夫だ。まあ、あの二人の弟だからな。

野暮ったい黒縁眼鏡と性格をもう少しどうにかすれば、それなりになるだろうに。
まあ、眼鏡は置いておくとしても性格がな……普段はボヤボヤだし、ぽやぽやだ。

……しかし、じっと見ていられると、言いにくいことこの上ないな。

「とりあえず、反対側、向いて」

わたしの我がままには慣れっこになっているのだろう臣科が、何も言うことなくくるりと反対側を向いた。
見上げる位置に後頭部がある。襟足に大分掛かっている後ろ髪は、そろそろ散髪の頃合かもしれない。

「これでいい? 美穂さん」
「……うん、いい」

唇を噛みしめ、俯く。ああ嫌な役回りだ。仕方がない、けど。これ以上先送りにすることもできない。
膝の上で、ぎゅっと拳を握る。最初の一言が胃の腑に沈んで、何度か、発しかけた言葉を飲み込んだ。

「結婚、」

漸く、最初の一言を搾り出した。

「することになりました」
author : kuno_san | comments (0) | trackbacks (0)

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