マシニスト(ネタバレ有。
2005.10.19 Wednesday | 映画事

例え忘れたとしても罪は残る。
魂に焼きつく。
だから人は咎の意識から逃れる為に己だけのあらぬ世界を作り出す。
他人にはわからない。他人には見えない。
自分が今見ているこの世界を完全に共有することが不可能なのだとすれば、人が目にしている世界もまた、理解しがたいものなのかもしれない。
■■ STORY ■■■■■■■■■■■■■■■■■■
工場で機械工(マシニスト)として働く男・トレバー。
彼は原因不明の不眠症に陥っており既に一年もの間眠ることが出来ないでいた。
そんなある日、彼はアイバンという新しい同僚に出会う。
そして、不可解な事件は起こり始めた――。
トレバーの不注意による同僚ミラーの片腕切断という事故。行きつけのカフェに勤めている女性とその子供に誘われていった遊園地での奇怪な体験。
行く先々で見かける赤い車。
自分は誰かに陥れられようとしているのではないのか。
疑心暗鬼に駆られ、誰を彼もトレバーは疑いだす。
しかし最後に彼を待っていたのは、揺るぎない真実。
それは自らの恐ろしい過去だった。
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もうなんというかこの映画は「あ、なるほど」の一言に尽きました。
正直、ほぼ中盤辺りで、あれ?もしかしてそういうことか?と大方の予想が可能ではないかなーと(勘の良い方はもっと前で気付くかもです;
私は、ルート66(遊園地のアトラクション)に主人公と男の子が乗り、男の子が倒れた後の箇所であれー??感が。
なにせ子供が倒れているのに回りの人間が誰一人として手を貸さないって明らかにおかしい。幾ら連れの男性(トレバー)が微妙な風貌とはいえ、あそこまで皆が遠巻きに見ているだけということは無いよなー、と。
でもその後の緊迫感・息苦しさは変わらず。精神的に追い詰められていく人間の狂気と焦燥がひしひしと。
全体的に画像が暗めなのでちょっと細部が見づらかったのですが、それがまた陰鬱な効果を増長している感じでなかなか。
ルート66、赤い車、冷蔵庫に貼られた謎の言葉、記号のようなハングマン・ゲーム。
全てのキーワードが指し示すのは、たった一つ。
詰まるところ、トレバーは精神的に追い詰められ、無意識のうちに自分の罪をもう一人の人間という形で幻視していたわけですが……。
ラストで自首をした彼が、本当に自らの罪悪感から逃れることができたのかが気になるところ。
例え社会的制裁を受けたとしても、自分が犯した罪の重さは、なかなか消えることなく残るのではないかと。しかも罪の意識のあまり事件そのものを忘れてしまっていたわけですし。
拘置所の中で「これで漸く眠れる……」と言っていたけれど、今度は夢の中で何度も繰り返し罪の意識を感じていくのでは?そしたらかなり救われないやも……。
でもこの手のストーリとしては比較的後味の良い作品で御座いました。
後味の良いお話スキーとしてはきれいにまとまったラストで満足。
それにしてもクリスチャン・ベールの−30kgというのは凄い……。
ガリッガリ。人相変わってます。
冒頭辺り、お風呂場でふざけているシーンはかなり怖し;
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