「華、帰るのか?」

夕食を終えた後。ソファの上で鞄を手にして帰り支度を始めた華の後姿に、ゆうきは声を掛けていた。

「うん。そろそろ暗くなるし。」

鞄を持って立ち上がった華が、くるりと振り返り笑顔を向けてくる。

ゆうきは華の間近に寄ると華の腰へと腕を回した。

「今日は澄香さん、帰ってこないんだろう?」

このまま帰したくなくて、咄嗟に思いついた言葉を口にする。
華が戸惑ったようにゆうきを見上げてきた。

「ん?……うん。」

「泊まっていかないのか?」

吐息がかかる程唇を寄せて、ゆうきが囁く。
腕の中で華がくすぐったそうに、恥ずかしがるように身をよじった。

「独りで留守番は危ないだろ?」

甘く笑みながらゆうきが再び問いかける。

すると、華が驚いたようにゆうきを見つめ、そんなこと無いよと手を振りながら否定した。

確かに両隣に瀬守と叶という見張り番がしっかりいる華の家がそうそう危ない事態に陥るとは思えない。しかしそれでもゆうきは華を引き止める理由として敢えて挙げたのだ。

苦笑するゆうきをみて本気で言っているわけでは無いことを察したのか、華が僅かに頬を染めてふいっと顔を背ける。

「…なんとなく今はゆうきちゃんの傍に居るほうが危ない気がするもん…。」

少し躊躇った後に呟かれた的を射た華の言葉に、ゆうきが噴出した。更に身をかがめて今度は華の耳元へと口を寄せる。

「昼間の続き…しようか。」

甘く甘く、吐息混じりの囁き。

「ゆうきちゃん、ずるい。そんな風に聞かれたって…答えられな…あ…っ」

華が全て言い終わるより前―――ゆうきは細い体をきつく抱きしめ、その柔らかな唇を奪っていた。

そして、口付けの合間。

掠れた甘い声を上げ、華の体が小さく震える。

それを了承と受け取ったゆうきは、華を軽々と両腕に抱え上げ寝室の中へと連れ去っていた。



***




「あ、フルーツの香り。なんだろう、これは…レモン、かな?」

封を切って香りを楽しんでいる華の姿に、ゆうきは苦笑いを浮かべていた。

寝室のベットの上で華の服を全て取り去り、白い体を愛撫して紅に染め上げ―――蕩けた蜜口に入り込む前、ゆうきが手にした避妊具。橡が寄越したそれ。

最初は抵抗を示していた華だったが、今はすっかり夢中になっている。

開けて良いと無邪気に言ってきた華に諾と応えてから、既に未使用で開封済みのものが二つ出来上がっていた。一つ目はイチゴで二つ目がレモン。

しかし三つ目を華が手にしたところで、流石にゆうきが止めに入った。

状況が状況で無ければ、好きなだけ楽しましてやりたいところだが、そろそろ限界に近かった。

「ほら、華それ貸して。…ああ、それとも…華がつけてくれる?」

「え…!?」

目を見開いた華の手元から三つ目の避妊具がシーツの上に零れ落ちる。
ゆうきはそれを笑いながら拾い上げ、封を切ると華の肩を軽く押してベットに倒れこんだ。


「これは何の香りだろうな。」

もうきちんと確認することはできないだろうことがわかっていながら、組み敷いた華にゆうきが甘く尋ねる。

もちろん頬を紅く染めた華からの答えは無く、ゆうきは華の太腿から手を滑らせ、秘所に触れた。まだ十二分潤っている。

とろとろに蕩けた華の蜜口に、何の香りだかわからないそれをつけたゆうきの高ぶりが入り込む。

「…ん……っ」

華の甘い声。
ゆっくり浸入していけば、きつい華の中が絡みつくようにゆうきを締めつけてきた。

甘い快感を感じながら、緩急をつけ何度か華の中を突き上げる。

「は…っ、ん、あ、ん…っ」

ただでさえきつい華の中が更にきつさを増していき、次第に声は熱を帯びて…

「―――ん…っ!あ、ああ…っ!ゆ、ゆうきちゃ…ま、待って…ん、やぁ…っ!」

細い腕が、ゆうきの動きを制止するように背に回された。

「華?」

自身も荒い息を吐きながら、華の額に汗で張り付いている髪をそっと払ってやる。

触れた体は、酷く熱かった。

「んん…っ、ゆうきちゃん…、…熱い。お腹の中が…熱い…」

様子がおかしい。
そのことに気づいたゆうきがサイドテーブルへ手を伸ばし、ランプをつける。

辺りが薄ぼんやりと明るくなり、陰影濃く華の顔が照らし出された。

紅色に染まる頬。伏せられた瞼から覗く黒い瞳は熱を孕み、零れ落ちそうなほど雫が溜まっている。

口付けにより赤く濡れた唇は、僅かに開き荒い呼吸を繰り返していた。

熱があるのかとも思ったが、ベットに入る前も入ってからゆうきが華の体を愛撫している間もいつもと変わりなかったはずである。

とりあえずゆうきは一旦体を引いて、華から身を離そうとした。

「あ……っ!や、いやぁっ!」

「華…っ、ちょっとま…っ」

僅かに動いただけだった。だが、どうやら華には十二分な刺激だったらしい。背を撓らせ、震えながら―――華は達していた。
同時に、きつく締め付けられたゆうきも自身が制御できず、高ぶりを解放することとなっていた。

二人の荒い呼吸が重なるように閉ざされた寝室の中で響きあう。

しかし余韻に浸る間もなく、ゆうきは華の中から自身を引き抜いた。

「華、…華っ」

目を瞑り、ぐったりとしている華の頬を軽く手の甲で叩く。
どうやら気を失っているらしくまったく反応が無い。

今までも何度か最中に華の意識が飛んだことはあるが、こんな風に突然―――しかもまだ初めのうちに、というのは無かったはずだ。

そうなると、華の様子がおかしかったのはいつもと違う状況が原因としか考えられない。

―――まさかアレか?

いつもと違う状況。いつもと違う、物。と、いえば…。
たった一つしか思いつかなかった。

つまり、橡の寄越した―――避妊具。

まさかそんなにおかしなものだったわけではないだろうが、迂闊に橡の寄越してきたものを使ってしまった自分に腹が立ち、ゆうきが舌打ちする。

華を揺すろうと薄い肩に手を掛けた。

と、不意に―――マナーモードにしてサイドテーブルの上においてあったゆうきの携帯が震え出した。

こんな時に誰だと思いながらも、ディスプレイに目を走らせる。

するとそこには―――『橡』の文字。

ゆうきが手を伸ばして乱暴に携帯を開く。

「橡…っ!」

通話ボタンを押し、苛立ちの滲む声で悪友の名を呼んだ。

『おお、瀬守。』

ノイズの僅かに混じった、しかし間違えようの無い橡の声。その暢気さがより一層ゆうきの怒りを増長する。

「お前昨日俺に何よこした!?」

最早橡の寄越したそれが原因だという確信めいた予感がゆうきの中にあった。

通話口の向こうが静かになる。

痺れを切らしたゆうきが、だから何を寄越したのか聞いているんだと再び口を開こうとして、しかし、その前に発せられた橡の台詞はとんでもないものだった。

『……昨日?…ああ!あれかぁ。もう中身見たんだろ?使ってみてくれよ。香りつき、あーんど…マンネリ化した夜の生活に新たな刺激を、がコンセプトなんだよなー、あれ。』

「ああ?」

言われた内容の不吉さに、ゆうきの眉根が寄る。

『だーかーら。つまり媚薬効果つきってこと。あ。ちゃんと認可、とってあるから安心してちょーだいよ。』

「…お前なぁ…っ!」

なんでそんなものを俺に寄越すんだよ…っ、と、腹立ち紛れに手にした携帯を壁へ向けて放り投げたい衝動に駆られた。

恐らく此処で華の目が開いていなければ、ゆうきは間違いなくそうしていただろう。

「ん…ゆ、き…ちゃ…?」

だが、華は目を開けどこかぼんやりした声でゆうきを呼び、ゆうきはそちらに気を取られて、橡との通話を切ること無く華の頬へ空いている手を伸ばしていた。

まだかなり熱の残る肌が、媚薬の抜けきっていないことをゆうきに伝えている。それに触れた時、過剰に示される反応も恐らく薬の効果だろう。

華の頬から手を引き、ゆうきが手にしていた携帯を閉じようとする。これ以上橡と話していても仕方が無かった。

しかしゆうきが携帯を閉じようとするより僅かに早く、橡の声が聞こえた。

『あれ?女の子の声…?ああ、ひょっとして最中だった?それはお邪魔様。いや、特に用があったわけじゃないんだけどさ。試供品、後で一応使った感想聞かせてくれよなー、じゃーなー!』

陽気な響きの後には、ノイズの混じった切断音。
通話が切れる。

―――誰が感想なんか教えるか…っ。

ゆうきは携帯を乱暴に閉じると床に散らばっていた洋服の上に投げ捨てた。



***




「…ゆうきちゃ…、どこ、行くの?」

しっとりと潤んだ瞳で華が見上げてきている。

橡との会話を終えた直後、ゆうきは華を腕に抱えて、バスルームへと向かっていた。

「ん?風呂。」

簡潔に答え、ゆうきが目的の扉の前に立つ。
乱暴にそれを開け放った。

脱衣所を過ぎ、浴室へ入る。
先程―――ベットに入る前に一度使っている為か、室内はまだ大分湿気を含んでいた。

湯船の蓋はそのままに、ゆうきは華をその上に腰掛けさせ、シャワーを温めに調節する。

「ゆうきちゃん…?」

華が熱い吐息を漏らしながら、首をやや傾げて不思議そうにゆうきを見ていた。

「華、しばらくじっとしててな?」

ゆうきは安心させるために優しく笑みながら、華の膝に手を掛ける。

「…え?…っ、ん、や…っ、や、だ…!」

「いい子だから、華。」

閉じようとする華の足の間に体を割り込ませ、ゆうきは華の秘所に指を伸ばした。あふれ出した蜜が指に絡みつく。

ゆうきは、華の中に入り込んだものを全て洗い流してしまうつもりだった。



***




「やぁ…っ、ん…あ、んっ」

華の足の間にひざまずいたゆうきの肩に、爪が立てられた。
ちりっと軽い痛みが走る。

それでもゆうきは構わずに、華の中から避妊具についていた媚薬の残滓を洗い流そうとしていた。

自分以外の何かが華の中に入り込んでいることに無性に腹が立つ。
ゆうきは華に対してその手の薬を使うつもりなどまったく無く、薬の効果を楽しむつもりも無かった。

自分にしか感じて欲しくないという、馬鹿げた独占欲。
わかってはいても、ゆうきに譲歩するつもりはなかった。


シャワーの湯が、華の下腹部から足を伝って流れ落ちる。

「あ…ああっ」

華の背中がそり、痙攣を起こしたように体が震える。
ぱちゃりと飛沫が舞い上がった。

もう何度目の絶頂か、華自身もわかっていないに違いない。
それでもゆうきは華の一番敏感な箇所を探り、指で擦る。

蜜とお湯が華の中から音を立てて溢れていた。

「ん……いやぁ…、ゆうきちゃ…、もうい…指…も、いやぁ…っ」

ゆうきの愛撫に華が甘い声を上げている。
懇願してくるその姿にさえ色香を含んでいた。

「じゃあ、何がいい?」

そろそろ限界かと、自らも耐え切れない程華に溺れそうになりながらゆうきが問い返す。


「―――ゆうき、ちゃん…が、いい。…おねが、い…っ」

躊躇った後。小さく、消え入りそうな声で華が囁いた。

華の中からゆうきが指を引き抜く。
お湯では到底ありえないものが指の間で糸を引いていた。



***




翌朝。朝日の照る中、華はゆうきのベットの中で―――…。

布団を頭からすぽっりと被って丸くなっていた。


「はーな。」

ベットの脇に立ったゆうきが、丸くなった白い塊の上から声を掛ける。

ごそっと布団が動いた。

そっと布団の上から触れてみる。すると、ゆうきの手から逃れるように布団が―――正確には華が、身をよじった。


「……や…っ」

「華?」

「………だって、…私、昨日…昨日…っ」

途切れ途切れな上に、くぐもった華の声。
しかしそこに宿る羞恥の響きをゆうきは正確に読み取っていた。

どうやら昨晩した行為の記憶は、華の中にはっきりと残っているらしい。

ゆうきが口元に苦笑を浮かべる。

確かに昨夜…バスルームから出た後の華の大胆さは常ならざるものではあったが、それは散々ゆうきが煽った結果とも言え、華の所為ばかりでは無い。


「ごめんな。」

布団の上からゆうきが華を抱きしめる。

「…なんでゆうきちゃんが謝るの…?」

「いや、迂闊に橡からのもらい物なんか使った俺がいけなかった。」

くぐもった声で不思議そうに聞き返され、ゆうきは曖昧な言い方で答えた。

「え?」

尚も不思議そうな、問いたそうな華の声音。
しかしそれには応えず、ゆうきは華の被っている布団に手をかけた。

「ほら、華、顔、見せて?恥ずかしがらなくていいから。」

華がぎゅっときつく布団を握り締めたのを感じる。
しかも、そのまま口を閉ざしてしまった。

ゆうきが一つ、諦めの溜息をつく。

「―――そうか。」

短い一言と共に、するりと華から離れた。
寝室の扉へと足を向ける。

足音。扉の閉まる音。


華が勢い良く布団を剥いでベットの上に起き上がった。


「ゆうきちゃ…っ」

「何?」

部屋を出て行った―――振りをしていたゆうきが、閉められた扉に凭れながら腕組をして…布団から這い出してきた華へと笑いかけた。


「ーーーーっ!?………ずるい…。」


数回瞬きして。騙されたことに気づいた華が拗ねながら小さく呟く。

ゆうきはその一言を笑って受け流し、扉から身を起こした。
ベットを軽く軋ませ、華の真正面に腰を下ろす。

「身体…だるくない?」

壊れ物に触れるかのように、ゆうきの指が華の頬に触れる。

「―――少し、だけ。」

華が躊躇いがちに頷いた。
幾ら拗ねていても、真摯に尋ねられた問いに対してはきちんと答えるその姿はとても華らしい。

「気分が悪かったりは?」

ふるふると華が首を横に振る。

ゆうきがほっと息をついた。

昨晩―――といっても日付はとっくに本日のものになっていたのだが――再びベットで求め合った後、華はぐったりと眠り込んでしまったのだ。

頬の血色もよく、特に具合が悪そうな様子も見えなかったが、矢張り心配だった為、ゆうきは一晩中華の様子を見守っていた。

だというのに…、朝、まだ眠り込んでいる華を置いて少し寝室を離れた隙に、目を覚ました華はすっかり布団に包まりこんでいたわけである。

再び寝室に戻ったゆうきが目にしたのは、華の愛らしい寝顔ではなく白い布団の塊だった。


「―――よかった…。」

ゆうきが俯いている華の顎に指をかけて上向かせる。
白い肌に、ほんのり色ずく桜色の頬。つややかな唇も濡れたような瞳も。
どこにも変わりは無い様だった。

安心したゆうきが、軽く触れるだけのキスを落とす。
熱を孕んでいた昨夜とは違い、華の柔らかな温かさが伝わってきた。
そっと唇を離す。と、少し潤んだ華の瞳と目が合った。

細い肩に流れている長い髪に指を絡め、ゆうきが甘く笑む。
それに引かれる様に華がゆうきの傍へと近づいてきた。

華の頭がゆうきの胸につけられ、ゆうきは腕の中に心地よい重さを感じる。
ゆうきの指が華の髪を梳き、華は心地よさ気に目を瞑っていた。


「あのね、ゆうきちゃん。」

しばらくして、目を開けた華がそっと小さく囁いた。

「ん?」

「―――さっき言ってたけど…橡さんのくれた…その、アレ…がどうかしたの?」

躊躇いがちに尋ねられ、髪を梳いていたゆうきの指が止まる。

実は、ゆうきは橡との昨夜の会話を含め華には何も伝えていなかった。

伝えるタイミングを逃していたと言うのもあるが、出来ることなら知らないままでいた方が良いのではないだろうかとも思っていた為だ。

しかし尋ねられれば隠しているわけにもいかない。


「ああ。やっぱり華、気づいてなかったよな。」

溜息をつきながらのゆうきの言葉に、華が首を傾げる。

「―――…媚薬効果つきだったらしい。」

「え?―――ええ??」

華が凭れていたゆうきの胸から身を起こし、信じられないと言うように数回瞬きした。



***




ゆうきから告げられた思わぬ事実。

しかし驚きながらも、通りで昨晩ゆうきの様子がおかしかったはずだと華は今更ながらに納得していた。

バスルームでのあの行為―――足を開かされ、指で中を探られたあれは、丹念に洗われていたのだ。

途中でおかしな体の熱さは無くなったものの、別の意味で―――いつもとは違っていた。

ゆうきの焦らすような愛撫にどこもかしこも蕩けるように熱を持ち。

堪らずにゆうきの上で自ら足を開いて…ゆうきの熱を体の中に迎え入れる―――という今まではしたことのなかった行為まで華は進んでしていた。


思い出せば出すほど、あまりの恥ずかしさに華は両手で隠すように顔を覆い俯いてしまった。

「あの、ね…、やっぱりお風呂から出た後は…もう…その、効果は切れてた、んだよ、ね…?」

あれだけお湯で流されていれば恐らく効果は切れていたんだろうなと思いながらも、華は尋ねずにはいられなかった。

「どうだろうな。でも、まあ…たぶん、な。」

苦笑交じりのゆうきの声。
効果が切れていたんだろうことを確信する。

やっぱり媚薬のせいではなく…もっと深く深く繋がり合いたいと…思ったからなのだろう。

自分に対して言い訳の効かない昨夜の痴態に華の頬はますます熱くなる。


「―――あ、呆れた?」

本当に小さく小さく、囁く。
もうまともにゆうきの顔を見ることなんてできなかった。

しかも、問いかけにゆうきが反応してくれなくて、華はやっぱり昨夜の乱れ様に呆れられたんだろうかと―――俯いたまま、手で顔を覆って。

しばらくして、ゆうきが華の手をやんわりと退かして顔を覗き込んでくるまで、泣きたい気持で一杯だった。

手首を掴れ、隠しようの無くなった幾分潤んだ瞳を華がそっとゆうきをに向ける。
するとそこには、甘く蕩けるような笑みを浮かべたゆうきがいた。

「…本当に…そんな可愛いこと訊かれると押し倒したくなる。呆れるわけないだろ。凄く可愛かった。」

「……も、ゆうきちゃんの…馬鹿。」

安堵と羞恥。手首を掴れたまま、華はゆうきの深い口付けを受ける。
先程の触れるだけのキスとは違い、口内を探ってくるゆうきの舌。

だんだんと体重をかけられ、華の背がベットに沈み込んだ。
甘い声が喉から漏れる。

ゆうきの口付けを首筋に受け、華が横を向く。
その視界に、サイドテーブル上にある箱が入った。


結局、使ったのは何の香りだったのかは謎のまま。

橡からの貰い物はもう絶対に使わないでおこうと言う華の決意と共に、それは固く封印されることとなったのだった…。



〜Fin〜





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